1分子であることの証明-01

さて,様々な手法で,生体分子1分子の変位,力の計測手法を説明してきました.
しかし,重要なことをまだ説明していません.
それは,
 得られた結果が果たして生体分子1分子によるものかどうか?
をどうやって,確認するのでしょう?
 その結果って,2分子による結果じゃないの?
と質問されたときにどのように論破するのでしょう?

実際の実験の様子を示します.

これは,
 二つのレーザースポット(ピンク)を使って二カ所にビーズ(青色)をトラップする
 一本のアクチンフィラメント(黄色)を二つのトラップビーズで捕捉する
 アクチンにあらかじめ張力をかけておく
 ガラス上には,大きめのビーズ(緑色)を固定しおく
 ガラス上にまばらにミオシン(赤)を固定する
 捕捉したアクチンフィラメントを固定ビーズに近づける
 固定ビーズ上のミオシンがアクチンフィラメントと相互作用し,アクチンフィラメントを一方向に変位させる
 その結果,トラップビーズも変位する
 この変位をナノ計測でとらえる
というプロセスを踏んで生体分子1分子の変位,張力を計測するのです.

この計測大前提は,
 固定ビーズ上にあるアクチンフィラメントと相互作用できるミオシンは1分子のみ
というもので,その根拠は,
 ミオシンをまばらに固定しているから
というものだけなのです.
これだけだと,根拠ではなく,希望,でしかありません.

では,どのようにして,自分の実験結果を自信を持って,
 1分子による反応のものだ!
と言えるのでしょう?

そこで登場するのが,
 ポアッソン分布
なのです.

では,次からきちんと説明していきましょう.

l t r